大型水槽の濾過基準はどのように決定されたか
佐伯の理論から考えると1t当たり5kgの魚類を収容した場合、必要な濾過材は魚体重5キロに対し30倍の濾過材重量が必要となる。
すなわち必要な濾過材重量は、
5×30=150kg
が必要となります。
大型水槽の水量が1,048tありますので、1t当たり5kgの魚類を飼育展示する場合の必要な濾過材重量は
1,048×150=157,200kg
157.2tの濾過材が必要になる。
使用する濾過材の大きさを0.6㎜の珪砂を使用したとすると見掛比重が1.6なので
98.2㎥となる。
実際の大型水槽の濾過基準
(1)原単位
a 魚密:5kg/㎥
b 砂の硝化能力:0.03/kg・day (珪砂0.6mの場合)
c 魚類のアンモニア排泄量:0.5㎏/㎏・day
d 砂の見掛比重:1,600㎏/㎥ (珪砂0.6mの場合)
e 水槽水量:1,048㎥
(2)アンモニア排泄(生成)量 Vo(残餌は含まれない)
Vo=a・c・e=5×0.5×1048=2,620/day…1.4…3,670
=3,670g/day
現施設のアンモニア硝化能力
I:圧力式濾過器 7.8㎥/1基×5基=39㎥
39㎥×1,600㎏/㎥×0.03g/㎏・day=1,872g/day
II:接触濾過槽 50㎥
50㎥×(200/700)×1,600㎏/㎥×0.03g/㎏・day
=686g/day
III:バイオフィルター(座面濾過) 46㎥
46㎥×1,600㎏/㎥×0.03g/㎏・day=2,208g/day
以上、3濾過器の硝化能力の合計は4,766g/dayとなる。
さらに、佐伯の理論に当てはめると必要な濾過材の必要容量は、前述のとおり98.2㎥なので、
I+II+III=39+50+46=135㎥
となり、佐伯の理論からも濾過材容量は十分と判断できる。
濾過材以外の基準
水槽循環量:24turn/day
濾過速度:LV=27m
オゾン:1時間当たり1㎥を添加
オゾンはアンモニア態窒素を亜硝酸及び硝酸態窒素に酸化する。また、原水の色度を除去する働きと殺菌能力を有する。オゾンは、浄化及び殺菌において優れた特性を有しているが、オゾンを高濃度で処理し過ぎ残留させると、飼育魚の影響が懸念される。