大水槽の清掃

大水槽の清掃はベテランダイバーが行います。

ダイバーは、水槽内にある擬岩を洗うためのタワシとアクリル面を清掃するネルを持ち潜水します。

ダイバーはボンベがアクリル面と接触するとアクリル面が傷ついてしまうため、慎重な作業を要します。

魚類を展示するまで

大水槽に展示されている魚類は、活魚運搬船に乗せて搬入されます。 搬入される魚類は直接網ですくうと体表が傷つき病気になりやすいので、 水ごとミズダモですくい、予備水槽に移し摂餌は良好か、病気はないか様子をみます。 水槽に慣れ、元気になったところで展示水槽に初めて移されます。

①捕獲畜養

捕獲の方法は、定置網に入網するもの、巻き網によるもの、 底引き網、釣りなど様々です。

捕獲された魚類はいったん現地の生け簀で畜養され狭い環境に慣らします。

また、餌を良く食べるか、捕獲の際体表が傷つけられていないか確認し、 輸送準備に。

② 輸送・予備水槽での病気の確認

輸送される魚類は餌止めをします。 狭い輸送環境の中で魚類が糞や尿を排泄行ったり、胃の内容物を吐き出すと、水質の悪化を招き輸送中の魚類を全滅させてしまう恐れがあります。 そのため餌止めを行います。

餌止めをする日数は、飼育水温や種、個体の大きさなどによって異なります。

輸送に必要な機材、 タイムスケジュールを確認し、 輸送に移ります。

輸送に必要な機材

水温計、酸素瓶、レギュレイター、エアーストン、エアーホース、 ホースレンチ、タモアミ、 夏は海水氷、冬はヒーター、あれば新鮮海水と入れ替え用水中ポンプ

水族館搬入

輸送されてきた魚類は、状態を確認します。また水温などもチェックされ、搬入しようとする水が水槽の水温と異なる場合には、搬入しようとする水を活魚槽に入れ、徐々に水合わせを行います。

そうすることにより、水温以外にpHや、塩分の違いによるショックをやわらげます。

その際、魚類の取り上げは、タモアミで取り上げると魚類の体表が擦れてしまいますので、水ごと水ダモですくいます。

搬入された魚類は、いったん予備槽で畜養し、餌に慣らし、輸送による擦れなどを治し、病気が無い事を確認した後、大型水槽に搬入されます。

大水槽の透明板はなにで出来ているのか

大水槽はアクリルで出来ていて、最も厚いもの25㎝もあります。

アクリルが大水槽を可能にしました。

ガラスに比べアクリルは下記のような特徴がある

  1. 面接着によって、サイズや厚さ、変形など加工が容易(140℃で変形)。
  2. 保温性・衝撃吸収力に優れている。
  3. 板自体にねばりがあり、万一割れても裂け目から水が漏れづらい。
  4. ガラスのように開口部すべてが割れ、内部の水が急激に観覧側に流れ出ることもない。
  5. 強化ガラスの場合自爆作用がみられ、またゆがみや集中応力に対しても簡単に破壊されてしまうが、アクリルは相当程度まで耐えられる。
  6. ガラスに比べ膨張収縮(特に水温、水分)が大きいので、取り付け部に余裕を持たせる、水の注排水もデリケートに行わないとコーキングが切れて漏水の原因となる。
  7. 薬品や熱に弱く表面硬度もガラスに比べると劣るので取り扱いや収容魚種に注意がいる。

1:アクリルパネル 2:シリコンシーラント 3:ネオブレンパッキン 4:スペーサーブロック 5:プレキャストコンクリート 6:エポキシライニング 7:防水モルタル 8:アンカーブロック

④ 大型水槽の排水処理はどの様に行われるか

大型水槽の排水処理はどの様に行われるか

濾過槽には飼育魚類の給餌によるもの、魚類の排泄による濾別物質が徐々に蓄積され、砂表面に次第に濾過膜が形成されていく。

最後には、濾過槽の砂表面が硬く固まってしまい、閉塞を起こし濾過槽の機能を果たさなくなってしまう。

では、どのように濾過槽は管理され、濾過槽に蓄積された物質はどの様に処理されるのかを検討する。

濾過槽の閉塞は、循環水量の低下により確認されます。

濾過槽に閉塞が確認されたときの表面洗浄(逆洗)

逆洗により、洗浄された排水はどの様に処理されるか

逆洗排水受水槽(急速撹拌機pac添加~緩速撹拌機NaOHによりph調整凝集沈澱槽~砂濾過器~放流槽放流基準確認~放流)

凝集沈澱槽(上澄みと汚泥を分理)~汚泥貯槽ポリ塩化鉄

脱水助剤~脱水機~汚泥ケーキとして搬出(産業廃棄物)

③ 大型水槽の飼育海水はどのように搬入されるか

飼育展示されている魚類は主に熱帯性の海水魚で、大変水質に敏感な魚類も飼育展示されている。その為、良質な天然海水を伊豆大島沖から海水運搬船によって運ばれる。

搬入される海水は到着時水質チェックされ、基準より値が良好だった場合のみ搬入される。

搬入される海水量は、ひと月に一回約500tほど。

新鮮海水搬入の流れ

  1. 海水運搬船が桟橋に着岸、水温・PHの測定。
  2. 水質検査室で細かくチェック。
  3. 水中ポンプにより海水を貯水槽まで搬入。
  4. 搬入された海水の量をチェック。

購入海水の水質基準

溶存酸素(DO)         =                     2.5ppm

塩 素 量            =                    18~20%

比   重   (SG15℃)  =          25.0前後(1,025)

P   H            =                     8.0~8.5

化学的酸素要求量  (COD)  =                 0.3ppm以下

アンモニア態窒素(NH4-N)  =               0.005ppm以下

硝酸態窒素   (NO3-N)  =               0.005ppm以下

亜硝酸態窒素  (NO2-N)  =               0.010ppm以下