ムツエラエイ

ムツエラエイ(Hexatrygon bickelli)は深海性のエイの一種。

体は褐色、吻の部分は白い。ムツエラエイ科の唯一の現生種である。

6対の鰓裂(通常のエイは5対)。ゼラチン質に満たされた長い吻を持つ特異な種であり、その吻にあるロレンチニ器官で砂にいる魚の振動を捉えて餌を捕食する。

三浦市にある上宮田漁港の漁師鈴木勝巳さんの協力で、東京湾出口付近水深350メートルに仕掛けた刺し網により捕獲に成功。

「葉山の魚の剥製館 水心堂」の大堀さんによって剥製にしていただいた。

世界初、生きたオロシザメの捕獲

 この時、オロシザメの捕獲は世界で二回目。一回目はおそらく生体ではなく、生きたオロシザメの捕獲は世界で初めてのこと。江の島沖で捕獲。

 タカアシガニを展示している水槽しか適水温のものが無かった。オロシザメ用に新たに作ろうと思うが間に合わない。仕方なくタカアシガニ水槽に放した。

オロシザメは配管の噴き出し口に逆らって深海に帰ろうと頭を下げ泳ぐ。すぐにフラッシュ撮影禁止の張り紙を用意する。サメを失明させてはいけない。

翌日、たくさんの新聞社やテレビ局が来て、生きたオロシザメの写真を撮影した。新聞は全国紙にも掲載された。

共同通信社

水槽の前でサメの解説をしていると、一人の男性が近寄ってきてサメのことをいろいろと質問してきた。一般のお客様ではない見識。北海道大学の仲谷一宏先生であることがわかった。

仲谷先生は生きたオロシザメが見たいとわざわざ北海道から足を運んでくださった。直接お会いしたのはこれが初めて。積もる話もあり家に招いた。先生もお酒が好きで、呑みながらサメの話をする。

よく覚えているのは、「世界で二番目に大きいウバザメとイワシを泳がせてはどうか?」と聞いたこと。「種が違い、ジンベイザメのようにオキアミを吸い込むことが出来ないので飼育が出来ない。」と仰った。

他にもいくらか質問を投げかけたが、間髪入れず的確な答えが矢のように飛んでくる。厖大な知識量を感じざるを得なかった。

数日後、仲谷先生からサメの文献を寄贈された。私にとって何よりの宝物となった。

Biology of the Megamouth Shark
Biology of the Megamouth Shark

リュウグウノツカイ

リュウグウノツカイ(竜宮の使い)学名:Regalecus glesne)はアカマンボウ目リュウグウノツカイ科に属する魚類の一種。リュウグウノツカイ属における唯一の種。

特徴的な外見の大型深海魚。発見されることがほとんどなく、目撃されるだけで話題になることが多い。

たてがみのような背びれの鰭条、オール状で細長い腹びれなど、際立った外観を持つ。

リュウグウノツカイは全身が銀白色で、薄灰色から薄青色の線条が側線の上下に互い違いに並ぶ。背びれ・胸びれ・腹びれの鰭条は鮮やかな紅色を呈し、神秘的な姿をしていることから「竜宮の使い」という和名で呼ばれる。

リュウグウノツカイは太平洋、インド洋、大西洋など、世界中の海の外洋に幅広く分布する深海魚である。

食性は胃内容物の調査によりプランクトン食性と推測され、オキアミなどの甲殻類を主に捕食している。

リュウグウノツカイ

私の所有するリュウグウノツカイは、15センチメートルと30センチメートルの2個体で、ドライフリーズシステムで剥製にした。

捕獲地は、九州の錦江湾水深30メートルで両方捕獲した。

ラブカ

ラブカ

ラブカ(羅鱶、学名:Chlamydoselachus anguineus)は、軟骨漁網カグラザメ目ラブカ科に分類されるサメ。生きた化石として有名。普通のサメは鰓裂が5枚なのに対して、ラブカは6枚ある。

ミツクリザメ同様、タカアシガニ漁で捕れるので採集を依頼。横須賀長井漁港マルセ丸に葉山沖水深1,200メートルで捕獲していただいた。

長井漁港の漁師は、歯が鋭く、網からなかなか外れないため、マムシと呼んでいた。

稀種ではあるが、分布域は広い。日本では相模湾や駿河湾で比較的多く見られる。

第一鰓裂は繋がって襟状になる。静岡県油井漁港では、サクラエビを追って夜に深海から上がってきたものを捕獲し、東海大学 鈴木克己先生が長年にわたり研究し、執筆した著書が有名。

細かく並んだ針状の歯は、イカなどの柔らかい獲物を引っかけるのに適している。

歯は、合計で300本ほどで、個々は小さく、細い三尖頭を持ち、先は鋭い。

ガーマンは本種に科・属を新設し、古代ギリシャ語で”chlamy”(外套)、”selachus”(サメ)と、ラテン語”anguineus”(ウナギ型)から、『Chlamydoseselachus anguineus』という学名を与えた。

羅鱶
ラブカ_レントゲン

ラブカX-ray 協力 日本大学